ポール・マッカートニー『追憶の彼方に〜メモリー・オールモスト・フル』

追憶の彼方に~メモリー・オールモスト・フル

追憶の彼方に~メモリー・オールモスト・フル

みんな、こういうのが聴きたかったんだろ?―と自信たっぷりに語るポールの顔が浮かんでくるような快作。プロデューサーがかつて『オフ・ザ・グラウンド』を手がけたデヴィッド・カーンと聞いたときは、またあんな大味なアルバムになるのかと心配しましたが、杞憂に終わってホッとしました。収録曲のほとんどが3〜4分台の小品で小気味良く聴き進めていけるのが心地よい。マンドリンが大々的にフィーチュアされたり、しっとりとしたイントロからアップ・テンポのロックン・ロールになったりと、コンパクトな中にアイディアが詰め込まれた曲が多いところに最近の好調ぶりがうかがえます(プライベートでは色々大変な時期でしたが・・・)。本人によると“回顧的なアルバムとなった”とのことですが、聴こえてくる音楽はあくまで前向きでキャッチーなのがうれしい。なるほどビートルズやウイングスを思わせる部分はあちこちにありますが、それらが全部今のポールの音として力強く鳴り響いています。クラシック系の曲、サウンド・コラージュ、アンビエント・ハウスなどなんでもやっちゃうポールですが、やはり彼の真骨頂はキャッチーなポップ・ソングにあり、です。そうそう、このアルバムでは久々に“ベーシスト”としての魅力も発揮していることも忘れてはなりませんね。

「Dance Tonight」 PV

既にあちこちで紹介されていますが、一応貼っておきます。イギリスでのファースト・シングル。マンドリンと口笛が快適!

メイキングもありました。