フェビアン・レザ・パネ『甘美な光輝』

huraibou2007-05-24

フェビアン・レザ・パネは洒落た感覚の演奏で大貫妙子などのバックを支える名バイ・プレイヤーという印象が強かったのですが、昨日取り上げた小野誠彦が主宰するサイデラ・レコードからリリースされたこのピアノ・ソロ・アルバム、なんとCD3枚組というヴォリュームで彼自身の音楽をたっぷりと聴かせてくれます。とはいっても聴きとおすのが大変な代物ではありません。クラシックの優雅さとジャズの自在さを併せ持ち、ちょっぴりエスニックなフレーバーを振りかけた曲の数々はBGMとしても使えるし、じっくり聴いても面白い作品となっています。曲によって彼自身による、歌とスキャットの中間のようなヴォイスが重ねられるのもユニーク。小野誠彦はそんな彼のピアノをやや乾いた感触で、まるで着慣れた普段着のように親しみやすい音色で録音しています。このアルバムを聴く度に「グレン・グールドがまだ生きていてレコーディングを続けていたら、レコーディング・エンジニアには小野を指名していたのでは?」と思わずにはいられないんですよね・・・。