5/10グランディーバ・バレエ団Japan Tour2007“Always In Fashion”@オーチャードホール

昨日はオーチャード・ホールで行われたグランディーバ・バレエ団の公演に行ってきました。RYOSEIさんと一緒です。
グランディーバ・バレエ団はメンバーが全員男性であることで知られるバレエ団。1996年の結成以来、日本にはほぼ毎年訪れています。TVでもしばしば取り上げられるのでご存知の方も多いでしょう。そこで映し出される彼らの姿は、プリマドンナの恰好をした男達の織り成す、キモカワユイというかなんというか、コミカルでちょっとグロテスクな印象。ところが、実際に見るとやはり違いますね。眼前で繰り広げられる華麗な踊りにすっかり心奪われてしまいました。


この日のプログラムは通常とは異なるスペシャル・プログラムで3部構成でした。まず第1部はチャイコフスキーの有名なバレエ“眠れる森の美女”をアレンジした『眠れる森のパーティー』。お姫さまと王子さまだけではなく、赤ずきんとオオカミ、猫娘なども登場して、ソロにパ・ド・ドゥに群舞にと入れ替わり立ち替わりあでやかな踊りを披露してくれました。華やかな衣装で舞い踊る姿は、遠目には男性であることを全く感じさせません。時折コミカルな動作が入るのですが、決して下品ではなく優美そのもの。アクロバティックな動きも余裕でこなし、開演前まで抱いていた先入観を軽くふっとばす洗練されたステージでした。RYOSEIさんも「笑う前に見とれたね〜」と感心することしきり。


休憩時間にロビーをぶらついてグッズ類を物色。何度も日本に来ているだけあって、パンフレットやDVDの他にうちわや扇子まで売っていました。とりあえずパンフレットを購入。メンバーを紹介している頁を見てようやく「やっぱり男なんだな・・・」と実感しましたよ。パンフレットは高級女性向け雑誌的(えーと、「マリ・クレール」っぽい感じ?)なしっかりしたつくり。メンバーひとりひとりに源氏名というか、ステージ・ネームが付されていてキャラづくりがされているのが面白い。例えば唯一の日本人メンバーである瀬川哲司には“Sue Nami”という名前がつけられています。紹介文の一部を引用しましょう。

ある劇場の批評家によって、お天気バレリーナとしてこの名がつけられた彼女には、多大な期待が寄せられている。(中略)彼女を本当にお天気コーナーに出したらお茶の間は目がまわってしまうに違いない。天気図など見ている余裕はないのである。・・・・

こんな調子で全てのメンバーが紹介されているのですから、これは一度ハマッたら当分抜け出せそうにありませんね!新人ダンサーはサイン会もやっていましたし、ファン・サーヴィスもばっちりです。


さて第2部はショート・プログラムを3本。最初はラフマニノフのピアノ協奏曲2番を用いた『グラの園』。2組のカップルが織り成す恋模様がユーモラスに描かれました。続いてSue Namiが男役を演じた『海賊 パ・ド・ドゥ』。シャープでキレのあるダンスが鮮やかでしたね。そして最後は第2部の目玉、どのプログラムでも必ず上演される、カリーナのソロ・ステージ『瀕死の白鳥』です。これはよくTVでも出てくるので少し知っていましたが、サン・サーンスの「白鳥」が流れる中、ピアノにあわせて波を表現する、ヘビのようにしなやかな腕の動きには驚くばかり。そして瀕死の状態のはずなのに笑いを呼び起こさせずには入られない全体の演技も素晴らしい。人気演目だけのことはあります。ブルース・リーの映画を見るとむしょうに「アチョーッ!」と叫んだり、カンフーの真似をしたくなるように、あのカリーナの腕の動きにも“無理とわかっていながらもやってみたくなる”パワーがありますね。事実、第2部の休憩時間では腕を背中に回したり、くねくねと振ったりしている人の姿が客席にもロビーにも散見されました。もちろん私もその一人です。


そして第3部はぐっとモダンな雰囲気の『フーデアーズ』。夜の摩天楼の書割をバックに、スカッとした青いドレスを纏ったダンサーが映えます。音楽もぐっとポップス寄りになって、まるでミュージカルのよう。それも「ウエストサイド・ストーリー」とフレッド・アステア「踊らんかな」が同時進行しているような感じです。現代的なスピード感と古きよき時代の優雅さが幸福に共存しているかのような空間が目の前に広がっていきました。
終演後はカーテン・コールが何度も繰り返されました。客席の全てが彼らを愛しているというヴァイヴが伝わってきて、こちらも実にいい気分に。本格的なバレエを生で見るのは初めてだったのですが、充実した体験でした。パンフレットに掲載されている彼らの演目一覧を見ていると、バカラック・ナンバーを音楽に使っているのもあるんですね。他にもバニー・ガールの恰好で踊るらしい『ボレロ』などにも興味津々です。機会があればまた見てみたいですね。

関連リンク

オフィシャルサイト
http://www.zak-tokyo.co.jp/grandiva.html