メビウス&ノイマイヤー『ゼロ・セット2』

zero set 2

ZERO SET2

ZERO SET2

初のライヴDVD『ファン・サーヴィス [bitter] [DVD]』も最高にカッコカワユスだったPerfume。おかげで私の中では“テクノ=Perfume”という図式ができあがりつつあったのですが(笑)。その妄想にストップをかけてくれたのがこれ。既にテクノの古典的名盤の評価を確立しているジャーマン・エレクトロの傑作『ゼロ・セット』から25年、まさかの続編の登場です。
続編とはいっても前作の共同制作者の一人だったコニー・プランクは既に故人となっており、ディーター・メビウスマニ・ノイマイヤーの2人でつくりあげたものです。ラストの曲「Jokkuri Beat」はコニーに捧げられていますが、そこは湿っぽさや回顧なんて言葉が最も似合わない2人のこと、前作の方法論は受け継ぎながらもアグレッシヴな内容の音楽をつくりあげてきました。既に各所で話題になっているジャケット・デザインからもそのことがうかがえます。アートワークを手がけたのはHYSTERIC GLAMOURの北村信彦とUNDER COVERの高橋盾。
内容はノイマイヤーが繰り出す、ガムランやジェゴクの影響の濃いトライバルなビートが激しく打ち鳴らされる中、音楽の3要素なんて知ったこっちゃないといわんばかりのメビウスの奔放な電子音が響き、更にダブ的な加工も施された立体感のある音響が特徴的です。情緒的な要素は排除しているのに、どこかすっとぼけたユーモアを感じさせるメビウスの電子音の摩訶不思議な魅力は本作でも健在。エスニック・グルーブによる躍動感とフリーキーな電子音の中に歪んだポップ・センスが浮かび上がる、素晴らしく刺激的なアルバムです。