飯島真理『Blanche』

blanche

blanche(ブランシュ)(紙ジャケット仕様)

blanche(ブランシュ)(紙ジャケット仕様)

飯島真理の初期アルバムが紙ジャケ・リマスターで再発されました。この2ndアルバムは吉田美奈子がプロデュースを手がけていますが、坂本龍一のプロデュースで当時の教授らしいシンセ使いがふんだんに聴くことができる1st『Rose』と清水信之のカラフルなアレンジが冴え渡る3rd『midori』に挟まれてやや地味な印象を与える作品です。しかし完成度は高く他の2枚にひけをとりません。アルバム全体を包む独特のエコー感とリズムが前に出たサウンドが特徴で、随所に聞かれるコーラスも吉田美奈子ならでは。心なしか飯島本人の歌唱やソング・ライティングにも美奈子からの影響が感じられます。こうしたプロデュースの結果、1stや3rdに溢れてるアイドル・ポップ的な甘酸っぱさがこのアルバムでは大幅に後退しており、それが一見地味な印象を与える要因となっているのですが、これが決してマイナスにならず、逆にシンガー・ソング・ライターとしての彼女の魅力をひきたたせている作用を果たしているところに本作の大きな魅力があるといえるでしょう。アルバム・タイトル通り、先入観を取り払ってまっさらな状態で耳を傾けてみればこの作品の味わいがじわじわと伝わってくるはず。彼女のキャリアの中では異色作ではあるが、同時に代表作でもある好盤です。