ザ・クラッシュ『サンディニスタ!』

サンディニスタ!

サンディニスタ!

レココレの最新号がザ・クラッシュの特集をしていたので、久しぶりに聴き返して盛り上がってしまいました。パンクにはそれほど思い入れがないのですが、ザ・クラッシュは例外。中でも大好きなのはなんといっても・・・うーん、『ロンドン・コーリング』も捨てがたいのだけど、やっぱりこれ、『サンディニスタ!』だと言い切ってしまいましょう。

1980年に前作『ロンドン・コーリング』から数ヶ月のインターバルで発表されたLPで3枚組、全36曲の大作がこの『サンディニスタ!』。アルバム・タイトルは1979年にニカラグアで革命を起こした極左政党からとったもので、歌詞を見てみると至るところに怒り、反逆のエネルギーが充満しているのですが、なんといってもここで聴かれる、溢れてやまない彼らの音楽的野心が素晴らしい。レゲエを筆頭にラップ、ジャズ、ファンク、ダブ、カリプソ、果てはトラッドまで次から次へとアイディアが飛び出してくるポップの宝箱のようなアルバムで聴く度に発見があります。今回聴き返してみて、コラージュっぽい要素が聴かれる部分に後期のピチカート・ファイヴを連想してしまいました。怒りや緊張感は確かにある。しかしそれと同じくらいポップでお洒落なサウンドや遊び心がここにはあります。当時はとりとめのなさを批判されたそうですが、今となってはそのとりとめのなさ、雑然とした感じが魅力的にうつるのです。ちょうどビートルズのホワイト・アルバムがそうであるように。ザ・クラッシュというバンドのスケールの大きさをこれほど感じさせてくれるアルバムは他にはありません。うん、やっぱりこれが最高傑作ですよ!