ウイングス『バック・トゥ・ジ・エッグ』

Back to the Egg

Back to the Egg

ウイングスのラスト・アルバム。私はウイングスでは『ロンドン・タウン』のどよーんとしたアシッドな雰囲気が好きだったのですが、最近になってこのアルバムも悪くないじゃんと思っているのです。『ロンドン・タウン』とは対極にあるロック的なエッジをもった勢いのあるサウンドがなかなかカッコイイ。アルバムの目玉はピート・タウンゼントゲイリー・ブルッカージョン・ポール・ジョーンズなどを集めた“ロッケストラ”セッションなのですが、むしろそれ以外の小品の方が興味深く聴けます。ポールらしいキャッチーなメロディはやや影を潜めているものの(「ウィンター・ローズ/ラヴ・アウェイク」は流石のポール節ですが)、「実はアヴァンギャルド好き」な側面がチラッと垣間見えるときもあって面白い。
・・・とはいっても、実はボーナス・トラックとして収録された「デイタイム・ナイトタイム・サファリング」と「ワンダフル・クリスマスタイム」の方により魅力を感じてしまうんだよなあ(笑)。ディスコ・ポップな「デイタイム・ナイトタイム・サファリング」とテクノ・ポップな「ワンダフル・クリスマスタイム」。共に時代の流行と自分の持ち味にうまく折り合いをつけた名曲です。