メイ・マッケンナ『メイ・マッケンナ』

メイ・マッケンナ(紙ジャケット仕様)

メイ・マッケンナ(紙ジャケット仕様)

メイ・マッケンナは1974年に1枚だけアルバムを残して解散してしまった英国のグループ、コントラバンドのシンガーだった人。グループ加入当時は18歳という若さながら、美しい声としっかりした歌唱を披露しています。そのヴォーカルの力量を買われてか、グループ解散後もトランスアトランティック・レーベルに残り、75年に発表したアルバムが本作です。
コントラバンドはフォーク・トラッド色濃い楽曲をを現代的な感覚で演奏していたグループなのですが、この1stソロはほとんどが当時の代表的なシンガーソングライターのカヴァーで占められています。これは彼女を“歌のうまい美少女シンガー”として売り出そうとしていたレーベルの意向であり、本人の意志はほとんど反映されていなかったそうですが、ポップ・ヴォーカル・アルバムとして充分水準以上の仕上がりになっているアルバムだと思います。

取り上げられている曲はエドガー・ウィンター、ジム・ウェッブ、スティーヴィー・ワンダーニール・セダカ・・・と大物がならびますが、かなり渋い選曲です。有名曲といえるのはジョン・レノンの「イマジン」くらい。次にエルトン・ジョン「エルダーベリー・ワイン」といったところでしょうか。さりげなくギャリー・ラファティ曲が収録されているところにフォーク的な香りをかすかに感じることができるかも?コリン・ブランストーンランディ・ニューマンも選ばれているのもうれしいところで、本作が単なるアイドル・アルバムとは一線を画す落ち着きのある仕上がりになっているのに貢献していると思います。オーケストラも導入されているのですが、マッケンナの清楚で品の良い歌唱と楽曲のおかげで大げさな印象はありません。歴史的傑作とはいえませんが、女性ヴォーカル好きなら耳を通して損はないアルバムです。