マイルス・デイヴィス『ネフェルティティ』

60年代黄金クインテット時代のマイルスの頂点を記録した傑作。マイルスのソロが全体のトーンと方向性を示し、ショーターはマジカルなフレーズで神秘性を醸し出す。ハービー、ロン、トニー・ウィリアムズの変幻自在なコンビネーションもいうことなし。フリーに走ることなくどこまで自在な音楽を紡ぎだせるかという試みにひとつの回答を提出しているといえるでしょう。タイトル・ナンバー「ネフェルティティ」、今回めんちかつさんが選曲した「フォール」をはじめ、ありきたりな発想で音楽を鳴らしている瞬間がどこにもありません。アコースティックでここまでやっちゃったら、次はエレキ導入となるのも止むを得ないとすら思えるくらいの完成度です。同時期に録音された『ソーサラー』と併せて聴きたいですね。