10/26 曽根麻矢子バッハ連続演奏会第7回@浜離宮朝日ホール

RYOSEIさんのお誘いでチェンバリスト曽根麻矢子のリサイタルに行ってきました。
半年に一度のペースで行われている曽根のバッハ連続演奏会ですが、この日は「平均律クラヴィーア曲集第1巻」から半分の12曲とトッカータ1曲という構成でした。チェンバロは華やかなデザインのものが多い楽器ですが、この日ステージに置かれていたチェンバロは深秋にふさわしく、黒地に金で草花の絵をあしらった豪華な中にも落ち着きを感じさせるものでした。

開演時刻となり黒のドレスで曽根が登場。そのまま黙々と演奏を開始するかと思いきや、ステージにはバッハ研究家の樋口隆一も登場。なんでも樋口は曽根のことを高校時代から知っているということで、当時の思い出話も交えながらリラックスしたムードでバッハの音楽について会話が進んでいきました。そして演奏が始まったのですが、1曲ごとに曽根の解説が入るという構成にちょっと驚きました。1曲毎に間をとってくれたおかげで、喉の調子が悪くて咳き込みがちだった私は大いに助けられたし、普段家でCDを流しっぱなしで聴くよりそれぞれの曲の個性がつかみやすかったのでありがたかったのですが、演奏する方はその都度集中し直さなくてはならないのですから傍目で見るより大変だったと思います。

演奏の方も満足のいくもので、柔らかな響きのしなやかなバッハを堪能することができました。チェンバロ平均律で私が所有しているのはレオンハルト盤で、こちらは力強い構築性が印象に残る演奏なのですが、曽根の演奏はそれとは対極にある演奏でこの曲の新たな魅力を教えてくれました。フーガでも、もちろんそれぞれの声部をおろそかに弾いているわけではないのですが、各声部の線の絡みの楽しみよりも全体の響きによってもたらされる曲の世界に心遊ばせるといった趣があったのですね。そういった意味では短調の曲よりも長調の曲の方が楽しめました(演奏の出来に差はなかったのですが)。春にはCDが出る予定だそうです。これは楽しみですね。

アンコールは聴いている間はバッハの小品と思いきやモーツァルトだったのでびっくり。こういったさりげない遊び心にも好感が持てました。終演後はサイン会も実施するというサービスの良さ。もちろん私もサインしてもらいましたよ〜。


ちなみにサインしてもらったアルバムは↓

ゴルトベルク

ゴルトベルク