アンソニー・フィリップス『ギース・アンド・ゴースト』

The Geese & The Ghost

The Geese & The Ghost

アンソニー・フィリップスジェネシスの初代ギタリストですが、グループの人気が出る前の、初期の2枚で脱退してしまっているので一般的な知名度はあまり無く、地味な存在といえるでしょう。しかし、短い在籍期間とはいえアンサンブルのアイデアなど、音楽的には大きな影響をグループに残していったそうです。そんな彼がジェネシス脱退から7年後の1977年にようやく発表したのがこの作品です。ジェネシスつながりでフィル・コリンズマイク・ラザフォードも参加しているのが目を引きますが、ここで聴かれるのはジャケットから連想される通りの牧歌的で幻想的な音楽です。
一部シンセサイザーやメロトロンも用いられていますが、核となるのはアンソニーの繊細なギターを中心としたアコースティックなアンサンブルとたおやかなメロディー。その儚さすら感じさせる夢幻的な美しさはジェネシスよりもダンカン・ブラウンやチューダー・ロッジに近いといえるでしょう。アンソニー自身がヴォーカルを取っている曲もあり、決してうまくはないのですが、素朴な味わいがアルバムの世界に自然に溶け込んでいていい感じです。

関連アルバム(過去の日記から)

トム・ニューマン「妖精交響曲」 - One Way To The Heaven
アンソニーのアルバムがもうちょっとケルトっぽくなるとこんな感じになるでしょう。マイク・オールドフィールド「チューブラー・ベルズ」のエンジニアを務めたトム・ニューマンの傑作です。これもジャケットが美しい。