ジョージ・ハリスン『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』

リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド

リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド

彼の代表作はやっぱり『オール・シングス・マスト・パス』だと思うけど、あれはジョージだけではなくフィル・スペクターの代表作でもあるわけで、あの時代だからこそ実現した一期一会的な傑作でした。それから3年後に発表された本作は、甘酸っぱいメロディー、ポップなスライド・ギターがシンプルなバンド・サウンドで映える、ジョージの魅力がわかりやすい形で表現されたアルバムとなっています。シングルとして大ヒットした「ギヴ・ミー・ラヴ」1曲をとってもそのことは明らかでしょう。ジョン・レノンよりシンプルなメッセージの歌詞がひたすら繰り返されるだけの曲ですが、上であげたサウンドの要素が巧みにブレンドされていて飽きさせません。
その他の曲も全てが名曲とはいかないけれど、ジョージの作風を愛する者には満足いくものになっていると思います。改めて聴くと、遺作となった『ブレインウォッシュド』と感触が似ていますね。どちらも派手さは無いのですが、ジョージの持ち味を存分に楽しめる作品です。こんな感じのアルバムを後1,2枚は残して欲しかった・・・。

リマスターによってジョージの繊細なギターがよりくっきりと味わえるようになったのもうれしいです。