「声低く語る」という言葉がふさわしい、
ロバート・ワイアットがほとんど一人で創りあげた８５年の作品。個人的にはリアルタイムで初めて買ったワイアットのアルバムなので思い入れも深いです。とはいえ、彼の作品の中でも政治色の濃いこのアルバムに込められたメッセージを、当時の私にはほとんど理解できませんでした。ただ、「
チョムスキー」や「
イースト・チモール」なんていう単語が妙に引っかかっただけで・・・。それでも何度も繰り返して聴きこんだのは、ここでのワイアットのヴォーカルに惹きこまれたから。「よくわからないけど、この人はきっと大切なことを歌っているに違いない」と当時の私は思い込み、過去のアルバムやソフトマシーンなども聴くようになったのでした。今でも彼のソロ・アルバムの中でもヴォーカルの魅力を味わうには『ロック・ボトム』とこのアルバムにしくものはないと思います。
