マイク・オールドフィールド『ライヴ・アット・モントルー1981』

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ライヴ・アット・モントルー 1981 [DVD]

ライヴ・アット・モントルー 1981 [DVD]

マイク・オールドフィールドが1981年に出演したモントルー・ジャズ・フェスティヴァルでのステージ全曲を収録したDVD。時期としては『QE2』と『ファイヴ・マイルズ・アウト』の中間で、これまでの大作志向からポップへの接近を模索していた、過渡期にあたるものといって良いでしょう。編成も初期のエクスポウズド・ツアーのようにオーケストラやコーラス隊を率いた大掛かりなものではなく、コンパクトなバンド編成。それだけに、マイクのギタリストとしての魅力や、彼の曲のもつ美しいメロディーがロック的なダイナミズムの中で充分に発揮された、聴き応えのあるものになっています。

バンド・メンバーについて簡単に記すと、まずヴォーカルはマギー・ライリー。あいにくまだ「ファミリー・マン」や「ムーンライト・シャドウ」の発表前なので、彼女の歌を聴くことはできません。けれどもスキャットやコーラスとして要所要所に登場してその美声をふんだんに味わうことができるのでご安心あれ。ドラムとパーカッションはマイク・フライとモリス・パート。バンドのエンジンとして力強いビートを供給し続けています。ギターとベースをかけもつリック・フェンは縁の下の力持ち的存在。キーボードのティム・クロスは時折ブギ・ウギ調の演奏を披露して、マイクの音楽にユーモアの魅力を添えることに成功しています。これらの力強いサポートに支えられ、マイクは流麗なギター・プレイを存分に披露しています。ピックをほとんど使わず、指弾き中心でケルティックな要素を核にもつメロディアスなフレーズを次々と紡ぎだしていく様は圧巻です。
最初の「QE2メドレー」から「プラティナム」辺りでは比較的おとなしかった観客も、そんな彼らの熱演に徐々にヒート・アップ。「チューブラー・ベルズpart2」から「オマドーン」の流れで完全にマイクの音楽に魅了されている様子が画面から伝わってきます。そしてアンコールで満を持しての「チューブラー・ベルズpart1」!当然のことながらものすごい盛り上がり。そのまま躍動感漲る「パンカディドル」へなだれこんでエンディングとなります。あまり話題になっていないようですが、ファンならずとも楽しめるDVDだと思います。この編成で来日してくれないかな?