ジャーヴァ『ジャーヴァ』

njava

ジャーヴァ

ジャーヴァ

あまり話題にならなかったアルバムという印象ですが、久保田麻琴が90年代にプロデュースした中でも屈指の出来だと思います。マダガスカルのコーラス・グループが残した97年作。久保田自身の解説によると、15人の兄弟姉妹のうち若い方の5人によって結成されたグループとのこと。
その音楽はどこかにありそうで、実は他にはない感触があります。ナイロン弦のギターからは繊細で柔らかな調べが滑らかにあふれ続け、パーカッションによるポリリズムとゆったりうねるベースが心地よい空間を広げていく。その中で歌われるコーラスは軽やかでありながらも、スピリチュアルな輝きがあるのです。これみよがしなところが感じられないのが素晴らしい。一見素朴なようでいて、相当洗練された音楽だと思います。久保田の色はさほど濃くなく、当時の久保田のプロデュース作によく見られた、例えばサンディーやエルフィ・スカエシのアルバムのような打ち込みによるダンス・ビートの導入を周到に避けたことがこのアルバムでは吉と出ました。このアルバム以降の消息がさっぱりわからないのが残念。