プロコル・ハルム『ソルティー・ドッグ』

ビートニクスがカヴァーした名曲「ピルグリムプログレス」が収録されている3rd。オルガン奏者、マシュー・フィッシャーの作品ですが、鈴木慶一がソロ・アルバム『SUZUKI白書』中の一曲、「白と黒」で彼にプロデュースを委ねたこともムーンライダーズファンならご存知でしょう。
とはいえ、マシュー・フィッシャーはプロコル・ハルムではジョージ・ハリスン的な存在(アルバムのプロデューサーでもあるのですが)。このグループの中心はやはりゲイリー・ブルッカーの塩辛いヴォーカルです。タイトル曲でのじわじわと盛り上がっていく、粘り気のある歌いっぷりはさすが。オーケストラの使い方も派手すぎないでいい感じです。また、ロビン・トロワーのギターも個性を発揮しはじめていて、随所で印象的な演奏を聴かせてくれています。
クラシカル・ロックと呼ばれることもある彼らですが、どちらかというとザ・バンド的な土臭さが魅力ですよね。リマスターされてもなお残っているもっさりした音の質感が心地よい。アルバムとしてはややまとまりに欠けるように感じるときもあるのですが、初期の彼らを代表する一枚とよんで良いでしょう。