『philia records compilation album「Easy Living Vol.1」』

easy living

ショック太郎さん(id:bluemarble)のユニット、Blue marbleの楽曲「懐かしのバイアーナ」が収録されたコンピレーション・アルバムです。既にいただいていたデモ音源集*1にも収められていた曲ですが、新たにレコーディングをした(ブラジルの民族楽器であるビリンバウなどを加えたそうです)とのこと。サンバのリズムを用い、タイトルにも「バイアーナ」とあるのに、どこか無国籍感が漂うのが魅力です。初期のムーンライダーズのアルバムに参加していることでもおなじみ、大野方栄のキュートなヴォーカルも健在。
その他の曲もソフト・ロックボサノヴァっぽい楽曲を中心とした、耳に心地よい音楽が並んでおり、全体を通して楽しめました。恐らく録音環境がバラバラの曲が集まっているのに、どこか共通した音の肌触りがあるのはマスタリングの手腕が大きいのでしょうか。「衣・食・住・音」のテーマにふさわしく、ギラギラしていない、ぬくもりのある音像です。ドライブでも、部屋で聴く時でも自然に馴染んでいくような雰囲気がありますね。どのアーティストの曲からも「いい曲」をつくりたい、広く聴いてもらいたいという思いは伝わって来るのですが、「とにかくオレを聴いてくれ!」のような強いエゴイズムは感じられません。だから聴き疲れすることがなく、BGM的に聴くこともじっくり聴き込むことも出来るようになっているのです。心情を吐露するフォークのような音楽ではないのに、作り手の生活から自然に産み出されたような生活感がある曲が多いのも面白い。そういう意味ではBlue marbleの無国籍感、浮遊感は実はちょっと異色なのかな?と数回聴き込んで思ったのですが、彼等の曲のおかげでアルバムの世界がより広がったものになっているとも考えられますね。
良いポップ・ミュージックを聴きたい、と思っている人にはもちろんお勧めですが、良いポップ・ミュージックをつくりたい、と思っている人にも刺激を与えてくれるコンピレーションではないかと思います。id:SCRAPSさんの感想が聞きたいなあ(と宣伝&営業(笑)してみる)。

*1:プロデューサーのウチタカヒデによる解説に、偶然知ったアーティストがいて「完成度の高いデモ・アルバムを無料配布しており、それを耳にして彼らの才能を見抜いた」という文章があるのですが、これってBlue marbleのことですよね?