Espers『Ⅱ』

II

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うっひゃー。本当にフィラデルフィア出身のバンドなんですか、君達は。予備知識無しで聴いたら絶対ブリティッシュ・アシッド・フォークのバンドだと思っていただろうなあ。繊細なギターのアルペジオ、耽美的なストリングス、ダルシマーオートハープの調べ、儚い女性ヴォーカル・・・どれをとってもメロウ・キャンドルやスパイロジャイラの落とし子としか思えません。フィラデルフィアで生まれたのにまるで英国の深い森から発掘されたような音楽。フリー・フォークもここまで来たかと思わせるバンドです。時折うなりをあげるギターやノイジーなアンサンブルもトリップ感に溢れていて、聴く者を別世界に連れ去っていきます。何よりも美しい曲を書けるのが彼等の最大の武器でしょう。いや、これは素晴らしい!

2002年から活動を開始していたというエスパーズですが、1stアルバムをリリースしたのは2004年。シカゴのロカスト・レーベルからのデビューとなりました。ミニ・アルバムを挟んで、新メンバー3人が加わり、レーベルをドラッグ・シティに移してリリースされたのが本作です。単なるアシッド・フォークの模倣に終わらずに、ヒリヒリとしたエッジが効いている音楽になっているのはシカゴ音響派との関連が深いレーベルに所属しているせいもあるでしょうか。浮世離れしているようで、時代の風も彼等のサウンドには確かに吹いていることが感じられるのです。
グループの中心人物、グレッグ・ウィークス曰く、

エスパーズはヴァシュティ・バニヤンであると同時にアダム・アントでもあり、ドリー・バートンであるとともにコーマスでもあるんだ。
(ライナーノーツより引用)

彼等がなかなか一筋縄ではいかない連中だと思わせてくれる発言ですね。来日してくれないかなあ。