ティム・ハート&マディ・プライア『サマー・ソルスティス(紙ジャケット仕様)』

summer

夏至」というタイトルなので実際の夏至の日に合わせて取り上げようと思っていたのですが、昨日だったんですね(笑)。まあいいや。花札のようなデザインのジャケットも印象的なブリティッシュ・トラッド・ソング集です。
アルバム発表当時のティム・ハートとマディ・プライアはスティーライ・スパンの中核となって活動していました。ちょうど代表作である『プリーズ・トゥ・シー・ザ・キング』が出た時期です。彼等に加え、アシュリー・ハッチングスやマーティン・カーシーといった強力な面々によって制作された『プリーズ・トゥ・・・』はドラムレスの編成なのに、ずしんと響く重厚さを持った、テンションが高いアルバムでした。その反動なのでしょうか、この『サマー・ソルスティス』は開放感のある、明るいトーンとなっています。


基本的にはプライアの歌とティムのギターというサウンドなのですが、いくつかの曲でティムはハンマー・ダルシマーなどを演奏。サポートとして参加のパット・ドナルドソンとジェリー・コンウェイはサンディ・デニーが結成したバンド、フォザリンゲイのリズム隊。また、ストリングスのアレンジはロバート・カービーとなかなか強力な助っ人を招いてサウンドに広がりをもたらしているので、とても聴きやすい音楽になっているのが特徴。マディ・プライアの伸びやかなヴォーカルの素晴らしさはいわずもがな(プログレ・ファンにはマイク・オールドフィールドの傑作『呪文』Part.2での名唱でおなじみでしょう)ですが、ティムの声も私は好き。この2人の声って畑から採れたての野菜のように瑞々しさと泥臭さがいい塩梅にブレンドされているんですよね。くつろいだ雰囲気でブリティッシュ・トラッドの滋味あふれる味わいを堪能できる好アルバムです。