Emilie Simon『Vegetal』

Vegetal

Vegetal

久々にフレンチの新作で聴き応えのあるアルバムを聴いたという印象。エミリー・シモンは2003年にデビュー。クラシックや現代音楽とエレクトロニクスを融合させたサウンドで話題を呼んだ人です。ケイト・ブッシュビョークとよく比べられる彼女ですが、そこまでエキセントリックでもなければ、突き抜けた才気を感じるわけでもありません。けれどもその分、聴き易さやぱっと聴いたときのキャッチーさでは2人を上回っていると言うこともできるわけだし、ヴィジュアル面も含めて自分の世界を既にしっかりつくりあげているのは見事です。そんな彼女の待望の新作は、映画「皇帝ペンギン」のサントラを挟んで発表された3作目。エレクトロニカ、というには輪郭がはっきりしているサウンドは、やや暗めの感触にもかかわらずテクノ・ポップ的な人なつっこさがあるのがユニーク。まるで鈴木さえ子がプロデュースしたケイト・ブッシュのアルバムみたい。かなり好みのサウンドです。小粒でもいいから、大作主義に走らずこのような愛すべきアルバムをこれからも創り続けて欲しいですね。