バークレイ・ジェイムス・ハーヴェスト『神話の中の亡霊』

Time Honoured Ghosts

Time Honoured Ghosts

いつのまにか紙ジャケが出ていた、主に70年代英国で活躍したバンド、バークレイ・ジェイムス・ハーヴェスト。オーケストラやメロトロンを導入したサウンドのため、プログレに分類されることが多いバンドですが、牧歌的な曲調や暖かいコーラス・ワークなどポップな要素が多いので、個人的にはプログレという印象はありません。ムーディー・ブルースにも通じる魅力がありますね。シンフォニックなサウンドを鳴らしているときでもどこか田舎っぽいところがあるバンドです。


『神話の中の亡霊』は8枚目にあたる作品で、シンフォニックな要素とポップな要素がいい具合にバランスが取れているアルバムです。どんなにドラマティックな展開になってもあまり緊張感がないのでくつろいで聴けるのが彼らのいいところ。本質的には愛すべきポップ・バンドだと思います。
やはり目玉はトラッドをアレンジした「タイトルズ」でしょうか。これは歌詞を原詩のまま紹介するのが手っ取り早いでしょう。2コーラス目から引用します。

Across the universe one after nine 'o' nine
I got a feeling for you blue and I feel fine
I tried so hard to make believe that I'd see
All you need is love to succeed


Lady Maddona let it be
Something in the way you moved me yesterday
All you need is love so they say

特に解説は必要ありませんね(笑)。


その他にもキング・クリムゾンを意識したような「ムーンガール」なんて曲もあります。こういった遊びのセンスも嫌味なく全体のトーンに溶け込んでいるのがいいところ。ジャケットのイラストもいい雰囲気で、大傑作とまではいえないまでも、手元に置いておきたいアルバムとなっています。