スティーライ・スパン『ハーク!ザ・ヴィレッジ・ウェイト』

ハーク!ザ・ヴィレッジ・ウェイト(紙ジャケット仕様)

ハーク!ザ・ヴィレッジ・ウェイト(紙ジャケット仕様)

フェアポート・コンヴェンション、ペンタングルに続いてスティーライ・スパンの初期作品が紙ジャケ化となりました。これで英国3大トラッド・ロック・バンド*1の代表作が揃い踏みとなったわけですね。


フェアポートの代表作『リージ&リーフ』制作の原動力となったアシュリー・ハッチングスがフェアポート脱退後結成したのがスティーライ・スパンです。彼らの代表作といえば、ブリティッシュ・フォーク界の大御所マーティン・カーシー加入後の2nd『プリーズ・トゥ・シー・ザ・キング』と3rd『テン・マン・モップ』*2となるでしょう。両者ともドラムレスの編成にもかかわらず、ズシリとした重さがある聴き応え充分な作品です。


この2つの傑作に比べると今回採り上げた1stはドラムを導入していることもあり、トラッドの追求という点では弱いところもあるかもしれません。けれどもこのアルバムも内容の素晴らしさでは劣っていません。なんといってもこのアルバムでしか実現しなかった、アイリッシュ・トラッド畑のゲイ&テリー・ウッズ夫妻と、これはイングランドの名華マディ・プライア&ティム・ハート夫妻の共演が聴けるのですからなんとも贅沢なアルバムなのです。ヴォーカル、コーラス・ワークではこのアルバムが一番聴き応えがあるのではないでしょうか。
この後のスティーライ・スパン(アシュリー・ハッチングス)は更なるイングランドのトラッド追求路線をひた走るのですが、もし、このアルバムで萌芽したケルトイングランドの交配が発展したらどうなったのか、これも聴いてみたかったところですね。

*1:ペンタングルをロックと呼べるかどうかは微妙ですが

*2:このアルバムについてはショック太郎さんの素敵なレビュー http://d.hatena.ne.jp/bluemarble/20051229 をご覧ください