ガイ・ヴァン・デューサー&ビリー・ノヴィック「レイジング・ザ・レント」

レイジング・ザ・レント

レイジング・ザ・レント

もう5,6年位前になるでしょうか。“アコースティック・スイング”と呼ばれる音楽が注目を集めたことがありました。私はそれほどどっぷりとはまることは無かったのですが、そのときに買った何枚かのアルバムは今でもときおり棚から取り出して聴くことがよくあります。とにかく無条件に楽しく、くつろげる音楽なんですね。今回取り上げたのもそのひとつ。アコースティック・ギターの名人ガイ・ヴァン・デューサーとクラリネット、ソプラノサックスを操るビリー・ノヴィックのコンビによる82年作品です。


内容はスタンダード・ナンバーを中心とした、とても80年代の作品とは思えないほのぼのとした音楽。ほのぼのといっても2人の演奏はあくまで小気味良くスイングして快適です。要所要所では名人ぶりを発揮しているのですが、決して技巧をひけらかしている印象はありません。時々挿入されるヴォーカル・ナンバーは巧みではないものの肩の力が抜けた、いい味出している洒脱な歌いっぷり。何よりも演奏している本人が楽しくてしかたないという様子が伝わってくるんですね。録音もとても良く、楽器のまろやかな音色が生き生きと響いています。