ニコレット「ライフ・ラヴズ・アス」

ライフ・ラヴズ・アス

ライフ・ラヴズ・アス

小鳥のような声を持つ電気仕掛けのリンダ・ルイス、ニコレットマッシヴ・アタックのアルバムへの参加や96年のソロ・アルバム「官能的超現実体験への誘惑」で注目を集めた女性アーティストが長い沈黙を破って2005年に発表した2ndアルバムがこの作品です。


プロデュースはニコレット自身。作詞・作曲・プログラミングも本人がてがけており、彼女の世界が思う存分展開されている作品になっています。ドラムン・ベースやブレイク・ビーツを基盤としながらもそれらを脱臼させたような独特のビートが全編を通して貫かれています。1曲目は「フィーリン・グルーヴィー」のカヴァーなのですが、テンポが伸縮自在に変化するので、最初に聴いたときは船酔いに似た感覚になりました。サウンドもストレンジなエレクトロニクスの音色が奔放に駆使されてカラフル。そこにリンダ・ルイスを彷彿とさせるニコレットのヴォーカルが加わると摩訶不思議な多幸感のある音楽が出現するのです。


ライナーノートによると「聴いたことのないビートを組み合わせて聴いたことのないハーモニーを創って、それが凄くエキサイティングなジャズに聴こえる」という考えの下で制作されたそうですが、その狙いは充分に達成されていると思えます。