ブライアン・イーノ「オン・ランド」
- アーティスト: ブライアン・イーノ
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2004/12/22
- メディア: CD
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この低音の響きはこれまでのイーノの作品には無かったものと思われます。クレジットを見るとベースでビル・ラズウェルの名前があるので、演奏面では彼の貢献が高いといえるでしょう*1。しかし、それ以上に重要なのはエンジニアとして参加したダニエル・ラノワです。イーノとラノワといえばU2のプロデュースなどで絶妙な手腕を発揮したコンビ*2。そのコラボレーションの出発点がここにあります。このまさしく周囲を包み込む(アンビエント)ような柔らかくも深い低音はラノワの存在が無ければ実現しなかったのではないでしょうか。
そして、マイルス・デイヴィスがデューク・エリントンの追悼曲として捧げた「ヒー・ラヴド・ヒム・マッドリー」*3が本作の具体的な音づくりにつながっている、というイーノの発言も注目すべきところです。既にこの時点(1982年)でマイルスにアンビエントの要素を見出していたイーノの慧眼にはただ唸るしかありません。後にビル・ラズウェルがマイルスのアンビエント・リミックス作を発表しますが、それは本作から15年以上も経ってからのことですから(結構好きな作品ですけどね)。
*1:マイケル・ブルックやジョン・ハッセルの参加も見落とせないところです。
*2:もちろん、ラノワ単独でもピーター・ガブリエルやスティング、ロビー・ロバートソン、ボブ・ディランなどの作品で世界的なプロデューサーの地位を確立しています
*3:アルバム「ゲット・アップ・ウィズ・イット」収録