ジョン・パットン「レッテム・ロール」

レッテム・ロール

レッテム・ロール

ブルーノート・レーベルには優れたオルガン奏者の作品がたくさんあります。ジミー・スミスを筆頭に、ピーター・バラカンもお気に入りのベイビーフェイス・ウィレット、「オルガンのコルトレーン」の異名を持つラリー・ヤングなど・・・そしてジョン・パットンもその一人です。


ジョン・パットンがブルーノートに残した数ある作品の中ではやや異色なのが今回とりあげた「レッテム・ロール」。これまでホーン奏者を加えた編成で録音することが多かったジョン・パットンですが、このアルバムはホーンレス。代わりに参加しているのがヴィブラフォン・プレイヤーのボビー・ハッチャーソンです。


ボビー・ハッチャーソンといえばブルーノートのミュージシャンの中でもハービー・ハンコックウェイン・ショーター等に通じる音楽性を持った、いわゆる「新主流派」を代表する人。本人名義の作品「ハプニングス」や、エリック・ドルフィーの超名盤「アウト・トゥ・ランチ」などで澄み切った音色を駆使した知的な印象を与える名演を展開してきました。


一方ジョン・パットンはどちらかというとブルージーな演奏をする人。この作品にはグラント・グリーンも参加していますが彼もまたブルージーな演奏が得意。となるとボビー・ハッチャーソンは音色的にも音楽性的にも浮いてしまいかねないところです。しかし結果的にはこの取り合わせは良い方向に作用して、お互いのよさを相殺しない、適度な刺激のある作品となりました。ここでのジョン・パットンはかなりアレンジに工夫をこらしています。本人の演奏はソロよりむしろバッキングの時の方が印象的。ハッチャーソンのクールなソロをうまく包み込んで自分の世界に取り込んでいます。グラント・グリーンとの相性の良さはいわずもがな。


最後にジャケットのかっこよさも特筆すべき点として挙げておきましょう。ブルーノートらしい、スタイリッシュでファンキーなアートワークですね。Amazonの画像がちょっとピンボケしているのが残念。