「オリジナル・サウンドトラックによる 武満徹 映画音楽」〜大島渚・羽仁進監督作品篇〜

オリジナル・サウンドトラックによる 武満徹 映画音楽

オリジナル・サウンドトラックによる 武満徹 映画音楽

大島渚と羽仁進監督作品の音楽を集めたのが3枚目。
まずは大島渚愛の亡霊」から。冒頭の一音からまごうかたなきタケミツ・トーン。響きの美しさの中に緊迫感を潜ませながらゆっくりと推移していく音楽です。ときおりうごめくパーカッションが効果的。
「東京戦争戦後秘話」「夏の妹」はどちらもジャズの語法で書かれた音楽。佐藤允彦がエレピを弾いている「東京戦争戦後秘話」も面白いのですが、オルガンを巧みに用いた「夏の妹」が涼やかなラウンジ・テイストの佳曲!これは今でも使えるでしょう。
「儀式」の音楽はヴァイオリンとピアノのための「悲歌」をヴァイオリン協奏曲の形に編曲したもので、ここでもたっぷりとタケミツ・トーンを味わうことができます。ここまでが大島渚篇。


羽仁進監督作品に移って、まずは「不良少年」の音楽。武満が生涯愛し続けた楽器、ギターを中心として紡がれた愛らしい小曲が連なっています。親しみやすい旋律と典雅で軽やかなワルツのリズムが心和ませる。このアルバムの中では一番気に入っています。武満がメロディー・メーカーだったことが良くわかります。
最後は「充たされた生活」のメイン・テーマ。ストリングス・アンサンブルによる叙情的なメロディーが、ほの暗い重さを感じさせるハーモニーに載せて奏でられます。