「intoxicate」Vol.60で武満徹特集

武満レビュー、今日はインターミッション。タワーレコードが隔月で出している「intoxicate」誌の最新号が巻頭で武満徹特集を組んでいるのですが、これがなかなか面白いものでした。
全体的に武満が持っていたポップ・ミュージック的な側面にスポットを当てています。武満作品のジャズ的サウンドについては、鈴木大介(ギタリスト。武満作品集の録音有り)・中島ノブユキ(作曲家・アレンジャー)・水谷浩章(現在最も活躍しているベーシスト)による座談会で語られていて、これも興味深い内容なのですが、目玉は武満眞樹と鯉沼利成の対談。知らなかったエピソードがたくさん出てきます。武満は本当にジャズやロックも好きだったんだなということが良くわかる。


例えば―

鯉沼:一番印象的だったのは「スティーヴ(※ガッドのこと)はよくハイハットで刻みますよね。そのときピアニシモで刻んでるんだけど、すごいグルーヴするんです」と言われたことでしょうか。

(家ではどんなジャズを聴いていたのか、という質問に対して)
武満:よく聞かれるんですが、あんまり覚えていないんです。そのころはジャズよりランディ・ニューマンとか、クロスビー・スティルス&ナッシュとか。ランディ・ニューマンはすごく好きでしたね。それからピアソラは昔から聞いてました。

スティーヴ・ガッドについてのコメントもさることながら、ランディ・ニューマンを好きだったとは!うれしい驚きですね、これは。
その他にも井上陽水ヤン・ガルバレクとのエピソードなど楽しい逸話がいろいろ語られていて本当に面白かったです。


対談以外の記事としては、デヴィッド・シルヴィアンへのインタビューや、片山杜秀による映画音楽についての分析など。特集全体に割かれているページこそ10ページぐらいですが、大変読みでがあるものとなっています。室内楽全集が出たことも知りました。しかし各2枚組で全5タイトル、1巻3800円じゃあすぐには買えないな。


武満特集以外でもヴァレリー・アファナシェフの連載「音楽と形而上学」(いかにも彼らしいタイトルですな)が始まったりするなど読みどころが多い雑誌です。これでタダなんだからぜひ皆さんご一読を。