V.A「ノン・ヴィンテージ〜林立夫セレクション〜」(asin:B000A3H6C2)

huraibou2005-11-19

大瀧詠一細野晴臣周辺の音楽を愛好している人には今更説明不要のドラマー、林立夫が自ら選曲したコンピレーション・アルバム。あえて年代順に曲を配列することなく、アルバム全体の統一感を重視した選曲、曲順となっていることから「ノン・ヴィンテージ」と名付けられています。
それにしても「ドラマー」としてのエゴが全然感じられない選曲。もし林立夫のことを全く知らない人がこれを聴いたとして、林立夫がドラマーであることを当てられる人はどのくらいいるでしょうか。ドラム・プレイに重点を置くなら、例えば大瀧からは『ナイアガラ・ムーン』の収録曲を選んだ方が良いでしょう。しかしここでは「雨のウエンズデイ」や「恋するふたり」、「銀色のジェット」のような比較的地味な曲が選ばれているのです。「林立夫」の名でまとまられているので、聴くときはまずドラム・プレイに集中して耳を傾けることになります。そうすると初めのうちは音色、リズム・パターンなどに注意が行きますが、いつしかドラムだけではなく、全体のプロダクションに・・・いや、端的に曲の良さをひたすら味わっている自分がいます。これは他の曲でも変わりはありません。グルーヴィーな曲であっても、静かなバラードでも、その曲の魅力をトータルに引き出すことができること、それこそが林立夫という音楽家の最大の魅力であることに改めて気づかされるのです。オールド・ファンだけではなく、若い人達にもここにまとめられた音楽が届いて欲しいと思います。