モッキー「イン・メソポタミア」(asin:B00006AUPA)

MOCKY

2001年作。ヒップ・ホップとテクノとニュー・ウェイヴをちゃんぽんにしたような、風変わりなアルバム。国内盤はなぜか小野誠彦のサイデラ・レコードから発売になりました。ビートとサンプリングの感覚が個性的で独特の“ねじれ感”があるんですね。かつてのミッシェル・フルームとチャド・ブレイクのプロダクションがひねくれ度を増した感じというか、屈折したデ・ラ・ソウルというか、なかなか説明がムズカシイ音楽であります。しかし、ただ奇妙なだけではなくて、ところどころに垣間見えるメランコリーがアルバムを繰り返し聴くに耐えるものにしています。
モッキーはタルヴィン・シンのバンドでベースを担当していたこともあるそうですが、現在はアムステルダム在住。モッキーとはスラングでジプシーやユダヤ人といった意味だそうで、あえてこんな芸名を名乗るところからも彼の個性がうかがえるのではないでしょうか。さらにユニークなのはこのアルバム発売後のツアー。サイデラ・レコードのアルバム紹介文から引用すると、

通常のクラブ、コンサート会場のみだけでなく、なんと7都市の動物園でライブを行った。動物園の中でも会場となるのが、猿の檻の前に午後の3時に集合というのが唯一の決まり事でゲリラ的に様々な人々に囲まれながら、猿の檻の前でライブを行ったのだと言う。「ショウがうまくいった時、そこは現実とは思えない場所に変貌する。猿たちも俺の音楽が好きみたいだし。人間相手にパフォームするのとは全く違う。動物たちからパフォーマンスの秘技を学んだよ」。

という様子だったそうです。ジャケットといい、何か猿に思い入れがあるのでしょうか。ともあれ、これからも活躍して欲しいミュージシャンの一人ですね。