ヨー・ヨー・マ、エドガー・メイヤー、マーク・オコーナー「アパラチア・ワルツ2」

アパラチア・ワルツ2

アパラチア・ワルツ2

2000年作。クラシックの枠を超えて活躍する3人の弦楽器奏者がアメリカン・ミュージックを追求した「アパラチアン・プロジェクト」の第2弾となるアルバムです。前作「アパラチア・ワルツ」はアパラチア、というカントリーやブルーグラスの基となったマウンテン・ミュージック発祥の地をコンセプトの中核に据えながらもそれだけに留まらず、アイリッシュや、もちろんクラシックまで包括した豊かな音楽を肩肘はらずに楽しく伝えてくれた作品でした。続編となるこの作品にもその魅力はそのまま受け継がれて、さらに広がりを見せた音楽となっています。

そして、ポップス・ファンにとっても見逃せないのがゲストとして招かれたジェームス・テイラーアリソン・クラウスの2人。どちらもフォスターの曲のカヴァーでヴォーカルを披露しています。アリソン・クラウスの可憐な声も素敵ですが、ジェームス・テイラーの飾らない歌唱が胸を打つ「つらい時はもうごめんだ(Hard Times Come Again No More)」は本作のハイライトのひとつ。テイラーは「ベンジャミン」というオリジナル曲も提供しており、そこではギターとおそらく口笛で参加しています。

その他の曲はメイヤーとオコーナーによるものがほとんどですが、どの曲も親しみやすいメロディーを持つ佳品。そして当然ですが3人のアンサンブルは巧みで音色も美しい。トラディッショナルな要素とポップな要素とクラシカルな要素が絶妙に溶け込んでいる、真の意味での素晴らしいフュージョン・ミュージックとなっています。