尾高忠明指揮/BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団「武満徹管弦楽曲集(2)」

武満徹管弦楽曲集(2)

武満徹管弦楽曲集(2)

秋の夜長に聴く武満徹「ア・ストリング・アラウンド・オータム」。単一楽章のヴィオラ協奏曲ともいえる曲ですが、色彩感溢れるオーケストラの響きと、それにそっと寄り添うようなヴィオラの旋律の対比が絶妙で、何度聴いても素晴らしい。このアルバムには他にもフルート協奏曲(あえてこう呼びます)「ウォーター・ドリーミング」、ピアノ協奏曲「リヴァラン」が収録されているのですが、どの曲もオーケストラが織り成す音の雲と、その周囲をゆるやかに巡っていく独奏楽器による精妙な音楽です。残る「ア・ウェイ・ア・ローンⅡ」は新ウィーン学派アルバン・ベルクを思わせる(しかしベルクより遥かに淡い)弦楽のための作品。
どんなに豊麗な響きであっても、決して自己陶酔的ではないのが武満徹の音楽の最大の魅力だと思っているのですが、このアルバムのどの曲もそれを裏付ける充実した作品となっております。