COMUS「First Utterance 」

huraibou2005-09-05

狂乱のシアトリカル・フォークとでも呼べばいいのでしょうか。71年発表のこの1stアルバムにはとてつもない緊張感が漲っています。男女ヴォーカルはケレン味たっぷりの演劇的な歌唱を披露。それを支えるアンサンブルはヴァイオリン、ヴィオラ、フルート、オーボエ、パーカッションといったアコースティック編成でありながら、時に軋み、あるいはうなり、咆哮します。アルバムの構成も2曲目、3曲目と10分を越える大曲を連続でぶつけてくる、まるでプログレのような展開。その勢いは後半になっても持続し、最後まで高いテンションを保った曲が続いていきます。

イアン・サウスワース「200CDブリティッシュ・ロック」によると、彼等の歌詞もかなり強烈らしく、強姦と殺人、精神異常、拷問、処女喪失といった内容が歌われているようです。とはいえ、彼等の音楽は異端かもしれませんが決してゲテモノではないことは強調してもしすぎることはないでしょう。たいへん高い音楽性をもつグループだと思います。正直、しょっちゅう聴きたいとは思いませんが一度聴き始めると最後まで惹きつけられてしまう求心力に満ちた音楽なのです。
かつては紙ジャケが出ていたのですが、私が購入したのはヘンリー・カウのメンバーも参加した2ndやシングル音源も収録した「The Complete Collection」。

Song to Comus: The Complete Collection

Song to Comus: The Complete Collection