アトミック「ザ・ビキニ・テープス」

ザ・ビキニ・テープズ

ザ・ビキニ・テープズ

エレクトロニクスやクラブ・ミュージックの要素を取り入れた“フューチャー・ジャズ”の力作を数多くリリースしてきたノルウェーの「ジャズランド」レーベル。しかし、今「ジャズランド」レーベルで最も注目を集めているのは今回取り上げた純アコースティック・グループである、アトミックに他なりません。このアルバムは彼等初のライヴ・アルバムでなんとCD3枚組のボリュームです。


アトミックは、フレデリク・ユンクフェスト(sax,cl)、マグヌス・ブルー(tp)、ホーヴァル・ヴィーク(p)、インゲブリクト・ホーケル・フラーデン(b)、ポール・ニルセン・ラヴ(ds,per)からなるクインテット編成。使用している楽器もジャズとしてはごくオーソドックスといえるでしょう。デビューしてから4年、現在までリリースしたオリジナル・アルバムはまだ2枚と歴史も浅いグループです。しかし、この2004年のノルウェー国内ツアーから選りすぐられた演奏を収めた「ザ・ビキニ・テープス」にはどの曲をとっても優れたジャズならではのスリルが充溢しています。決して特別なことをやっているわけではないのに、一音一音に「新しさ」を感じさせるのがすごい。強靭なリズム・セクションと奔放なフロント陣の拮抗。ハード・バップもモードもフリーも全て呑み込んで、自分達が確信を持てる音を鳴らす、という気迫がこちらに伝わってくるのです。来日公演を見逃したのはかえすがえすも残念。