パパズ・カルチャー「パパズ・カルチャー・バット・・・」(asin:B00005HF51)

papa’s culture

90年代最高のアルバムのひとつ。93年に発表されたおそらく唯一の作品ですが、今聴いても最高に快適でなおかつ色んな発見がある一枚です。
パパズ・カルチャーはハーリー・ホワイトとE・ブレイク・デイヴィスによるデュオ・ユニット。黒人と白人の組み合わせですが、その音楽もヒップ・ホップ、レゲエ、ジャズ、AOR、モンドなどブラック・ミュージックとポップスの良いところを巧みにミックスしたものになっているのが特徴です。
冒頭の「スイム」は今でも私のサマー・アンセム。イルカの鳴き声のイントロからゆったりとしたゴー・ゴー・ビート、ハース・マルティネスかドクター・ジョンを思わせるヴォーカルに加えて、終盤ではディキシー調のブラス・セクションまで登場する名曲です。その後もスティーリー・ダンボブ・マーレーが共演したようなレゲエや、インド風ストリングスが飛び出す曲、チャールズ・ミンガスをサンプリングした曲など、とにかく手を替え品を替え、豊富なアイデアとユーモアで最後まで飽きさせません。カヴァー曲としてモーズ・アリスンの「トップ40」を選んでいるのも心憎いというか、できすぎの選曲。24トラックではなくあえて16トラックでレコーディングを行うなど、ローファイが席巻しつつあった当時の流れもさりげなく押えて申し分なし。しかしそれほどヒットはしなかった記憶があるのは、あまりにも多彩なのが裏目に出てしまったのでしょうか。このまま埋もれたままにしておくのは勿体ない傑作だと思うのですが・・・。