ビョーク「メダラDVD」

ほとんど声だけでつくりあげたアルバム「メダラ」のPVとメイキング映像、そしてアルバム全曲を5.1サラウンド・サウンドで収録した贅沢なつくりの2枚組。「メダラ」は彼女の最高傑作とは思わないのですが、常に違った試みをしようという意欲は充分に感じ取れた作品だっただけにメイキング映像は楽しみだったんです。
まずディスク1はPV。アテネ五輪でも流れた「オーシャニア」は、鱗を顔に貼り付けて半漁人と化しているビョークがコワイ。あまり見返したくない(笑)。シングル・ヴァージョンでのハンド・ベルが印象的だった「フー・イズ・イット」では鈴に覆われたベル人間になっていますが、これは幻想的でシュールな感じがあって良いです。アイスランド南岸の溶岩で覆われた場所で撮影されたとのことですが、その荒涼とした風景が素晴らしい。スパイク・ジョーンズ監督の「トライアンフ・オブ・ア・ハート」は、猫との恋愛ストーリーを中心にした設定がユニークでこれは一番安心して見られるものになっています。しかし猫に車を運転させるのは危ないぞ。「デザイアード・コンステレイション」は神秘的なアニメーション。「ホエア・イズ・ザ・ライン」は、「ショック・ザ・モンキー」や「アイ・ドント・リメンバー」の頃のピーター・ゲイブリエルを彷彿とさせる不気味なものでした。

さて、2枚目のメイキング・オブ・メダラはうってかわってオーソドックスなドキュメンタリーなのですが、そのために安心して語られていること、映像に集中できました。ドカカを始めとするヴォイス・パフォーマー達のパフォーマンスが一番の見所。ほぼすっぴんで登場するビョークは、この映像ではプロデューサー的な冷静さを終始発揮しておりました。残念なのはロバート・ワイアットが登場しなかったこと。彼がビョークの音楽について語るところや歌っている場面を見たかった!