メリー・ホプキン「ポスト・カード」

huraibou2005-04-26

さあ、いよいよアップルの歌姫メリー・ホプキンが紙ジャケで登場いたしました。「悲しき天使」の大ヒットを受けてポール・マッカートニーが全面的にプロデュースしてつくられたのが、この1st「ポスト・カード」です。もっともオリジナル・アルバム発表時には「悲しき天使」は未収録でCD化の際加えられています。
プロデューサー、ポールがもくろんだのはメリーを誰にも親しめる「歌のお姉さん」にしようということ。そのせいで「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー」や「ショウこそ素敵な商売はない」などのスタンダード・ナンバーも収録されています。悪い出来ではないのですが、アルバムを散漫なものにしていることは否定できないですねえ。やはり聴きどころはポールが声をかけて提供させた、ドノヴァンやニルソンによるオリジナル楽曲。ニルソン「子犬の歌」(後にニルソン自身が大傑作「ハリー・ニルソンの肖像」に収録した)もさることながら、「悲しみのリーディー・リヴァー」や「ハッピネス・ランズ」といったドノヴァン曲との相性が群を抜いて素晴らしい。全曲ドノヴァンにつくらせても良かったと思うくらいです。中でも作曲者ドノヴァンとプロデューサー、ポールによるシンプルなギター伴奏をバックに歌われる、ファンタジックな「ヴォヤージュ・オブ・ザ・ムーン」はこのアルバムのハイライト。メリーがその魅力を最も発揮でき、かつ本人も望んだスタイルはやっぱりこういうシンプルなフォーク・サウンドだったのですね。この曲、後にドノヴァン自身が名盤「HMS」に収録してますが、私はメリーの歌唱の方が好きです。
このアルバム発表後、メリーはポールの手による愛らしいポップ・ソング「グッド・バイ」をシングルで発表しヒットを飛ばします。しかし次のシングルとしてポールが考えていた「ケ・セラ・セラ」の発売をメリーは拒否。ポールとの関係はここで終わりを告げるのでありました。