ローリング・ストーンズ「ブリッジズ・トゥー・バビロン」

ブリッジズ・トゥ・バビロン

ブリッジズ・トゥ・バビロン

ひょっとして未だにこれが最新スタジオ・アルバムなのか。そろそろ新作も聴きたいですね。スティーヴィー・ワンダーもようやくニュー・アルバムを出すようですし。さてこのアルバム、1曲1曲はそれなりに楽しんで聴けます。自分達のパブリック・イメージを生かしつつ新しい血を吹きこむというのもそこそこ上手くいっている。しかし、なんだか“ミック・ジャガー・プロジェクト”と“キース・リチャーズ・プロジェクト”を足してアルバムにした、という印象が強い。バンドのアルバムという感じがどこか希薄なんです。そりゃあミック、キース、チャーリー、ロンが揃えばストーンズ以外の何者でもないことは確かなんですけどね。聴いていて楽しいけれどちょっと寂しい。
そこを割り切ってしまえば先に書いたように、個々の曲は面白いところが多くて、中でもラスト・ナンバーであるキースのヴォーカル曲「ハウ・キャン・アイ・ストップ」はウェイン・ショーターのソプラノ・サックスまで登場する、やさぐれたスティーリー・ダンという趣の名曲。スティール・ドラムみたいな音が最後に響く不思議な終わり方がなんともいえない余韻を残します。もっとも国内盤はそのすぐ後に余計なボーナス・トラックが入っていて全てをだいなしにするのですが。