FRIPP & ENO 「THE EQUATORIAL STARS」

The Equatorial Stars

The Equatorial Stars

30年ぶりの新作登場。過去の2枚を聴いてきた人なら充分に予想が着く内容で、一部の曲にビートが導入されているものの意外な展開というのはありません。しかし、じゃあつまらないのか、と聞かれればそうとはいえないのがこのアルバムの不思議なところ。とにかくイーノの音響設計が優れていて、ニュー・エイジ風になってしまう寸前で踏みとどまり、絶妙の浮遊感と奥行きを演出しています。全体の感触としては「アポロ」(asin:B000803FGI)に近いかな。イーノがこれだけやってくれれば、幸いなことにフリップ翁もサウンド・スケープをやらずに済みます。音色こそあまり自己主張することなく、イーノのサウンドに合わせていますが、時に陽炎のようにゆらめき、あるいは軟体動物の如くうねうねと徘徊するフリップのギターはサウンド全体に独特のぬめりを与えていて、全体としてはやはりこの2人でしかできない音楽になっているのです。当分就寝の友となりそう。