イリュージョン「醒めた炎」

醒めた炎(紙ジャケット仕様)

醒めた炎(紙ジャケット仕様)

77年発表の1st。ヤードバーズ脱退後、ルネッサンスを結成したものの短命に終わってしまった*1キース・レルフは、76年に再びオリジナル・ルネッサンスの再結成を目論見ますが、不慮の事故(作曲中に感電)により亡くなってしまいます。その後残されたメンバー達によって、キースの遺志を受け継ぐべく結成されたのがこのイリュージョン。ヴォーカルとしてキースの妹、ジェーン・レルフも参加しています。既にパンク、ニュー・ウェイヴが勃興しつつある77年にデビューしたせいもあってセールス的には苦戦を強いられ、わずか2枚のアルバムを残して解散してしまいましたが、残された作品はどちらも聴き応えのあるもの。
サウンド自体は大掛かりなオーケストラが入るようなことはなく、比較的抑制されたものですが、気品のあるメロディと、ジム・マッカーティとジェーンのヴォーカルの味わい深さ、コーラスの美しさに聞き惚れます。特に最初の3曲「イザドラ」〜「自由への道」〜「ビューティフル・カントリー」の流れが素晴らしい。翳りのある曲想がたまりません。「ソロ・フライト」はこの中では普通にロックな感じですが、続く「エヴリホエア・ユー・ゴー」が爽快なポップ・チューン。そしてオリジナル・ルネッサンスの名曲「フェイス・オブ・イエスタデイ」、ラストを飾るドラマティックな「キャンドルズ・アー・バーニング」と後半も聴きどころ満載。これは傑作とよぶのにふさわしい1枚ですね。

*1:ルネッサンス」というバンド名は、アニー・ハズラムらを中心とするグループに受け継がれた