アイク・ケベック「春の如く」

春の如く

春の如く

いよいよ本格的に春到来ということでこのアルバム。とはいえジャケットに象徴されるように、春といっても浮かれた陽気さはなく、むしろ夜、ひとり静かに耳を傾ける聴き方こそが似つかわしい作品です。
アイク・ケベックというとid:songcycle27さんも取り上げていた「ボサノヴァ・ソウル・サンバ」が今では有名だと思いますが、こちらも渋めの好盤。ケベックの出す太い音はバラードの曲調にぴったりで、華やかさはないのですがじっくりと聴かせてくれます。ケベックのプレイではタイトル・チューンでの悠然とした演奏も良いのですが、「ラヴァー・マン」での力のこもった歌い上げがベスト。そして共演者ではフレディ・ローチのオルガンが素晴らしい。彼の適度にファンキーで、かつ時には繊細にケベックのブローに寄り添う演奏がこのアルバムが渋くなりすぎるのを防いでいます。ミルト・ヒントン(b)、アル・ヘアウッド(ds)のリズム隊も好サポート。