スティーヴ・ライヒのアルバムは既にたくさんの種類が出回っていますが、とりあえずジャケが魅力的なこれを取り上げてみました。それぞれ異なった編成で演奏されているので、最初の1枚としてもふさわしい内容です。「プロヴァーブ」は声楽中心の曲。
古楽に影響を受けたメロディ・ラインで
ヴィトゲンシュタインの「ごく些細な考え方が1つあれば一生を満たすことができる」というテキストを反復していきます。このテキスト、まさに
ミニマリズムの奥義といった趣がありますね。「ナ
ゴヤ・
マリンバ」は本人の語っているように60年代、70年代のスタイルに近似している曲。タイトルの由来は
名古屋音楽大学より新ホール落成記念として委嘱されたから。これは一番
ライヒらしい曲で安心して楽しめますね。
マリンバのあたたかい音色が心地よいです。最後の「シティ・ライフ」は
サンプラーを導入した意欲作。フルート2、
オーボエ2、
クラリネット2、ピアノ2、
サンプラー2、打楽器3、
弦楽四重奏、バスといった大掛かりな
室内楽といった編成。これは
ライヒの音楽がテクノやヒップ・ホップにも通じる魅力があることをはっきりと伝えてくれるヒップな名曲ですよ。というわけで、このアルバムは中世から現代までまたいで繰り広げられる
ミニマリズムの大冒険。
ライヒの音楽の多様性と一貫したスタイルが伝わる、好
サンプラーともいえるのではないでしょうか。