イエス「海洋地形学の物語」

海洋地形学の物語

海洋地形学の物語

「危機」の次に発表された、20分前後の大曲が4曲収録された2枚組大作。「危機」が誰もが認める歴史的傑作の評価を確立しているのに対して、こちらはこれまであまり好意的な評価をされてきたとはいいがたい。常に「冗長」という形容がつきまとってきた作品です。いま改めて聴いてみてもその評価にはうなずかざるを得ないように思われます。とはいえメンバーの若干の入れ替わり(ビル・ブラッフォードが脱退してキング・クリムゾンへ加入し、アラン・ホワイトが加入した)があったものの、勢いに乗っていた時期の作品だけに、退屈な凡作とはいえません。むしろ緊張感やシンフォニックな盛り上がりが薄れた分だけこのグループの持つポップな側面が見えてくるところがあって、どうしてなかなか楽しめるものになっています。歌詞が難解だともよくいわれておりますが、もともと良くいえば観念的、悪くいえば頭でっかちな歌詞ばっかり書いてましたからねえ。私はあまり気になりません。もちろんメンバーそれぞれの演奏面にも聴くべきところは多く、特に3曲目におけるスティーヴ・ハウのギター・プレイは見事。曲の長さについては、曲想が変わる部分にサブタイトルをつけて、組曲のようにしておけばもっと親しみやすくなっていたのにと思います。まあ、最近は70分を超す作品も多くなってますから、かつてほど問題にはならないのでは?肩の力を抜いて気軽に接するとより魅力がつかみやすくなる作品です。