アリス・コルトレーン「ワールド・ギャラクシー」

ワールド・ギャラクシー(紙ジャケット仕様)

ワールド・ギャラクシー(紙ジャケット仕様)

ジョン・コルトレーンの妻にして、昨年久しぶりのアルバムを発表したアリス・コルトレーンの71年作品です。前作「ユニヴァーサル・コンシャスネス」から導入したストリングスがより大掛かりに使用され、ますますスケールの大きい音楽になっています。そして、なんといっても冒頭が「マイ・フェイヴァリット・シングス」で終曲が「至上の愛」という大胆不敵なカヴァー。ジョン・コルトレーンが生きていたらきっとこのような音楽を創造していたはず、というアリスの強い意志が伝わってくるようです。
確かにここで聴こえてくるのは、ちょっと他に類をみない音楽であると思います。アリス自身が演奏するのがオルガンやハープというのも独特だし、ストリングスの使い方もかなり効果音的というか普通の使い方ではありません。とはいえ、私にとって聴いていて微妙に物足りなさが残る作品であることも確かです。録音のバランスの問題(もうちょっとリズム・セクションが前に出ていれば・・・)などのせいもありますが、アリスの頭の中ではもっとすごいサウンドが鳴っていたに違いないと思わずにいられないから。これはよりスケール・アップした次作「ロード・オブ・ローズ」を聴いても残る不満です。そう思わすだけのものを孕んでいるサウンドだと言えることも確かなのですが・・・。傑作と呼ぶにはためらいを感じてしまうけど、プログレッシヴたらんとする姿勢が胸を打つアルバム。ヴァン・ダイク・パークスがプロデュースしてればなあ!