こうの史代「夕凪の街 桜の国」

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

id:kissheeさんの日記で知って以来、あちこち探していましたがようやく入手することができました。内容については、もういろんな方が語っているのですが、できるだけ多くの人に読んで欲しいと心から思える本です。原爆の主題を静かに奏でる３つのささやかな物語。
主題とは関係がないのですが、なぜだか印象に残った場面は「桜の国（一）」で入院している凪生を姉の七波と共に見舞いに行った東子が「一番好きな曲」と言って、持っていた楽譜の一部を破って凪生に渡すシーンでした。その楽譜はツェルニーなのですが、そういった細部の丁寧な描写がこの作品に説得力をもたらしている大きな要素ではないかと思えるのです。
今年も押し迫ってきましたが、よい本にめぐりあうことができました。kissheeさんに感謝。