World's end boyfriend「Xmas song」

boyfriend

特異な存在感をもつエレクトロニカ・ユニット、World's end girlfriendが変名ユニットで出した限定400枚のミニ・アルバムに未発表曲を追加して再発した作品です。ミニ・アルバムが出たのとほぼ同時期に発表されたWorld's end girlfriendの2nd「farewell kingdom」は、電子音やギター、ヴァイオリン。チェロなどが織り成す牧歌的な世界を狂暴なブレイク・ビーツが引き裂いていく、振幅の激しい、独自の美学によって周到に組み上げられた作品でしたが、クリスマス・ソングの持つ世界観はこの方法を適用するのにはうってつけともいえるもので、のどかなメロディや耳になじみのあるクリスマス・ソング、子供の声の断片などの素材が歪められたり、誇張されたり、電子音の海に溺れていったりと黒いユーモアがたっぷりの音響作品に仕上がっています。曲目も人を食っているところがあって、「Very Merry Happy」とストレートなものがあるかと思えば、「Rotten Pig Parade」「Miss Piggy」なんてクリスマスらしからぬものもあり、果ては「Jaichel Mackson」なんてのも飛び出して聴き手を煙に巻きます。「クリスマスなんてどこが楽しいんだ」とひねくれてみたい方にお勧め。