栗コーダーカルテット「栗コーダーのクリスマス」

栗コーダー

普段はサックスやチューバを武器にあちらこちらでセッションをこなすツワモノ4人が、本業の楽器を一旦横に置き、リコーダーを手にとって誕生したのが栗コーダーカルテット。メンバーは栗原正己、川口義之、近藤研二、関島岳郎です。副業的グループとはいえ本業に劣らない神出鬼没の活躍ぶりで、CM音楽や「あずまんが大王」「クイール」等のサントラ、ピタゴラスイッチなどを通して密かに茶の間にも彼等の音は浸透しているのであります。ムーンライダーズのファンには鈴木慶一鈴木博文の兄弟ユニット、THE SUZUKIのライブ盤での好サポートが忘れられないところでしょう。初期の彼等のアルバムはメトロトロン・レーベルから発表されており、このアルバムもそのうちのひとつです。
内容は特に奇を衒っているものではなく、4本のリコーダーによる素朴な響きでクリスマスの曲を楽しんでもらおうというものです。中世のキャロルを比較的多く取り上げているのですが、どれもリコーダーの音色によくあっていて、アルバムのくつろいだ雰囲気と上品さを醸し出しているのに大きな役割を果たしています。どこかとぼけたユーモアも感じられるのは演奏が上手すぎないせいでしょうか、それとも彼等の人柄によるものか。いわくいいがたい味がじんわりと伝わってくるのです。
秀逸なジャケットのキャラクター・デザインを手がけたのは知久寿焼