チップマンクス「クリスマス・チップマンクス」

クリスマス・チップマンクス

クリスマス・チップマンクス

チャーミングなシマリスのトリオ、チップマンクスの2枚のクリスマス・アルバムを1枚にまとめたお得なCDです。チップマンクスといえばかん高い「ムシ声」の代表的存在。普通にバックの演奏を録音した後、テープ・スピードを半分に落としてヴォーカルを録音するという手法であのムシ声が生み出されたのです。生みの親はデヴィッド・セヴィル。当時は売れない作曲家だったセヴィルですが、家族を養うお金が200ドルしかなかったのにもかかわらず、150ドルのテープレコーダーを購入してムシ声をつくるという大勝負に。その執念が実り、見事58年「ウイッチ・ドクター」と「ザ・チップマンクス・ソング」の2曲がNO.1ヒットとなったのでありました。以後アルバム作成、61年にはTVアニメ化と、3匹のシマリスはスター街道を邁進したのであります。
このクリスマス・アルバムはチップマンクスが最も波に乗っていた、62年と63年に発表されたもの。サイモン、セオドア、アルヴィンの3匹とマネージャーのデイヴの声は全てセヴィル一人によるもの。イントロでよく繰り広げられる寸劇(いざ歌おうとすると、たいていアルヴィンがイタズラをしていてデイヴに怒鳴られる、というのが基本パターン)なんてどんな顔して録音していたんだろう、なんて考えると自然と口元がほころんできます。ジャジーな演奏とムシ声のハーモニーが織り成すクリスマスの名曲の数々はちょっとヘンテコでとってもキュートな魅力にあふれています。あえて欠点を探すなら、ヘッドホンでずっと聴いていると耳がこそばゆくなることくらいでしょうか。