クレイグ・アームストロング「ザ・スペース・ビトウィーン・アス」(asin:B0000065JU)

クレイグ・アームストロング

マッシヴ・アタック「プロテクション」の参加や、映画「ロミオ&ジュリエット」で音楽を担当して注目を集めつつあった奇才の1st。彼のサウンドの特徴といったら何といっても、鈍色に垂れ込めるようなダウナーな響きを持つストリングス・アレンジにあります。今作でも、もちろんそのストリングスがたっぷりと鳴り響き、そこにマッシヴ・アタック経由の重いビートが沈み込んでいく、独特の音空間が築き上げられていきます。正直、これ以後の作品はちょっとその大袈裟な音作りが鼻につくところがあって、あまり熱心に聴いていないのですが、これは例外で、同時期に出たマッシヴ・アタック「メザニーン」より愛聴していました。
ヴォーカル・ナンバーは2曲。コクトー・ツインズエリザベス・フレイザーをフィーチャーした「ディス・ラヴ」は、はまりすぎといってもいいくらい違和感を感じさせない出来栄えで、コクトー・ツインズよりもディス・モータル・コイルを彷彿とさせる曲。そしてもう1曲は、なんとブルー・ナイルの名曲「レッツ・ゴー・アウト・トゥナイト」で、ヴォーカルにポール・ブキャナン自ら参加。オリジナルよりややテンポ・ダウンして、メランコリックなストリングスが渦巻く中、苦味のあるブキャナンのあの声が聴こえてきて、悪いわけがありません。反則ですね、これは(笑)。