フェアポート・コンヴェンション「ホワット・ウィ・ディド・オン・アワ・ホリデイズ」(ASIN:B0000CD82O)

アワ・ホリデイ

フォーク・トラッドの世界へ踏み込む前の助走。サンディ・デニーが加入した最初のアルバムは、ディランやジョニ・ミッチェルのカヴァーをやったりするなど、まだアメリカへの憧れがうかがえるものの、その後の飛躍への予感に満ちた佳作となりました。2曲収録されたトラッド・ナンバーには来るべき次のステップの予兆が秘められています。
とはいえ、オリジナル曲も粒ぞろい。サンディはいきなり名曲「フォザリンゲイ」を提供して存在感をアピール。後に彼女自身が結成したグループ名にもなった哀切な曲です。負けじとリチャード・トンプソンもこれまた名曲「ミート・オン・ザ・レッジ」でソングライティング能力の高さを見せつけました。イアン・マシューズやアシュリー・ハッチングスもそれぞれ持ち味を生かした曲をつくっていて、バンドが一体となって音楽を生み出していることが伝わってくるのです。トラッドに行かなくても充分いいバンドだったのでした。後年の緊張感もまだ薄く、リラックスして楽しめますね。